きのこの生き方
「きのこ」の生態を調べてみると、その生き方には、数種類に分けられる事が分かります。地球のお掃除屋さんなどと言われている「きのこ」たちは、「腐生菌」と呼ばれ、森や山の中の落ち葉や、朽ちた折枝、倒木、動物たちの亡骸を分解し、それらの中から自分たちに必要な栄養を吸収しつつ、腐敗したり朽ちたものを分解し、大地に必要な土壌を生み出してくれています。
「菌根菌」もしくは、「菌根共生菌」などと呼ばれ、自分以外の植物などと「共生」しながら生きている「きのこ」もいます。皆さんがよくご存知の「松茸」「シメジ」などがこの種となります。
「菌根菌」に分類される「きのこ」は、共に生きる植物たちの根に、自分の「菌糸」をまとわりつかせ、そこから栄養素を頂きながら生活します。「共生」という言葉が使われるのは、ここでは、一方的に「きのこ」が、栄養素を植物から頂いている訳ではないからです。「きのこ」は、植物の根から、自分に必要な養分を頂く際、お返しとして、植物にも彼らの必要な栄養素を渡しているのです。このように、お互いがお互いの存在によって生きている「きのこ」の生き方を「菌根菌」もしくは、「菌根共生菌」などと呼びます。
その他には、「共生」に似た生き方ではあるのですが、一方的に相手から生きる為に必要な栄養素を頂きながら、成長する「きのこ」を「寄生」するきのこなどと呼びます。実は、時には、人々を悩ます、インキン、タムシ、水虫などの白癬菌もこの仲間です。
実体と呼ばれる、皆さんが「きのこ」と呼ぶ個体が目に見えないので、実感は湧かないかもしれませんが、インキン、タムシ、水虫は、人間の皮膚の表面の栄養素を頂く「寄生きのこ」に含まれる「菌類」です。
また、自分以外の生きた「きのこ」に寄生するきのこは、タンポタケ、タマノリイグチ等が知られています。
さらに、昆虫などに寄生するきのこは、冬虫夏草と呼ばれ、高価な漢方の原料とされ有名です。
漢方では高価なものもありますが冬虫夏草はサプリとしても販売されているのですが、そちらはそれほど高値ではないようです。
■「腐生菌」
■「菌根菌」
■「寄生」
など、3つの分類に分けられた「きのこ」の生き方は、まるで、人間の生き方の選択のようであるとも思える時があります。
私達人間も、誰かを利用したり利用されたり、依存したり、依存されたり、長い人生や成長の中で、様々な人間同士の関わり合いや、職業、趣味との関係性が生まれますよね。
「きのこ」も、もしかしたら、自分たちの生き方を意志をもって選択しているのかもしれない、そんな考えがふと過る事があります。