万年筆
万年筆というと高級感があり、大人の嗜好品というイメージで、普段使いには敬遠されてしまいがちです。しかしながら、今までの常識を覆す発想の進化した文具の世界は、万年筆にまで影響を及ぼしてきました。敷居の高かった万年筆をカジュアルにすることで、もっと身近なものとなっています。
これまで万年筆に見向きもしなかった人たちも使ってみたくなるような、持ちやすさ、書きやすさを意識し、手頃な価格でも万年筆の品質をきちんと保った初心者向けのものも豊富に揃っています。若い世代でも手にしてみたくなるような、カラフルでポップなものでも、その実力は確実なもので、一時的なブームに終わらせない工夫もされています。
とはいえ、万年筆にはそれなりの手入れも必要になってきます。簡単なカートリッジ式のインクから始めてみるのもいかもしれませんが、やはり吸入式が万年筆ならではの特徴で、自分にとって愛着が湧く1本が見つかれば、手入れすることも苦にはらならいかもしれません。まずは万年筆の仕組みを知ることも大切です。
ペン先は万年筆にとって一番重要な部分ですが、「ペンポイント」と呼ばれる先端部分は、ペン先のすべりの良さや、耐摩耗を決める部分となっています。ペンポイントから中心部にかけて割れている部分は、「切り割り」と言われ、インクの通り道となっています。この部分に蓄えられたインクがペンポイントを通じて文字となります。その切り割りの始まりの部分の穴は「ハート穴」と言われ、ペン先の弾力をコントロールする穴です。そのハート穴から上の部分には、通常、14Kや24Kなどといったペン先の素材とペンの太さが刻印されています。
万年筆を長持ちさせるためには、少しずつでも毎日使うことだといわれています。長期間使用しないまま放置しておくと、インクが乾燥してこびりつき、目詰まりや文字のかすれを起こしたりします。さらに2~3ヵ月ごとには、日々少しずつ溜まっていく汚れを洗浄する必要もあります。コップに水か40度程度のぬるま湯を入れ、ペン先ごとコップに浸して1~2時間放置しておくだけで完了です。1年ごとには、自宅ではできないメンテナンスや修理を、販売店やメーカーで受けることもよいかもしれません。