出版社の自転車操業 その➁

消費者としても、マニアックな本を街中の書店で手に入れることができるため、メリットを享受できます。他方、出版社は返品相当額を取次店に返金しなければなりませんが、結果的に自転車操業を生み出してしまいます。何故なら新刊に関しては取次は刷った冊数全てを買い取ってくれるため、返金額相当分を新刊の「無理刷り」によって賄おうとするからです。売れる見込みもないのに発行部数を上げるわけですから、当然その新刊もまた書店からたくさん返品されます。そして再度の返金を都合するため、新刊の発行を繰り返すようになるのです。

出版社がこれまで生き長らえてきたからくりが分かると、その延命法でいつまで耐えられるのかという素朴な疑問が生じます。出版業界全体の売り上げが減少しているのにもかかわらず、新刊点数が上昇しているのはどう考えても健全とは言えません。「借金」の帳消しが期待されるのは、ヒット作が生まれることに限られます。が、現況に鑑みて、そのような幸運を期待するのはギャンブルに過ぎます。中小の多くの出版社がこの自転車操業の限界を越してしまい、倒産しているのが現実なのです。返品すれば痛手を被らない書店がこれまで以上に販売努力できるかどうかも鍵ですが、そもそも「取次」システムが弊害ではないのかという疑問が方々で沸き起こっています。

2017年に話題に上ったのが、オンライン書店大手の外資系企業による「取次外し」でした。この企業は出版社と直接やり取りする販売方法を選択し、功を奏している側面もあるため、非常に注目されています。今のところ追随する書店は少ないのですが、今後の勢力図次第で取次会社も存亡の危機に直面することになりそうです。

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