マーチャオの模様
マーチャオは麻雀の源流ですから、その牌の模様も麻雀のそれと似ています。全自動麻雀卓などで今や簡単に遊べる麻雀、手軽だからこそ初心者の方は牌の模様にどんな意味があるのか深く学ぼうと思わないかもしれませんが、少し勉強すると牌を見るのが楽しくなるはずです。というのも、牌の全種に渡って実に多様なデフォルメが認められるからです。
例えば索子は貨幣と関わりがあります。昔の貨幣は穴が開いており、そこに紐を通していました。この紐のデフォルメが索子であると考えられるのです。他にも中支はデフォルメされた鳥であることが分かります。デフォルメ前の図柄はチンフーであったとされますが、その変化のプロセスについては詳しく分かっていません。
一説には当該地域で鳥が愛されたからだとも言われています。実際、北京に残存している書物を繙いてみると、「呉の人々は鳥を好んだ」との記述が認められます。もちろんそれだけが原因ではないでしょうが、この説を裏付ける事実があります。それは、北支の図柄が魚であるということです。北京の人々は魚を好みましたから、それが牌の図柄に影響したとすると辻褄が合うのです。マーチャオのこうした成立過程に鑑みると、麻雀に発展した経緯も想像することが出来ます。
「マーチャオ」と「麻雀」は発音が似ていますし、マーチャオの図柄の一つである「鳥」と「雀」とが対応しています。また、麻雀が紙札から骨化したことも、中支の歴史を振り返ると納得します。さらに麻雀の牌の主産地からも、マーチャオの影響が見て取れます。
主産地は正に呉だったのです。ただここで一つの疑問が生じます。北京では魚の牌が生産されなかったという事実です。この疑問に対しては、近年になって研究者が様々な説を提示しています。その一つが、米国で発見された魚の牌を証拠とする説です。米国でも20世紀初頭に麻雀がブームになりました。その際、中国から大量に牌が輸入されたわけですが、そこに魚の牌があったのです。