ペンのトレンドって?
ビジネスでの使用を考えると、そこであえて突飛な選択をするのではなく、マーケットのトレンドに乗るようなものを選ぶというのも手です。
「ああ、この人は市場トレンドを調べる程度の慎重性を持っているんだ」と、同僚、上司、取引先に思ってもらえるようなセレクトは、マイナスに働くことはないように思われます。
さて、ではマーケットはどのような傾向にあるのでしょうか?
まず、大量生産大量消費(自動車のフォードにちなんでフォーディズムなどと言われています)の時代が終わって久しく、高度経済成長期以降は、製品において多様性が価値とされる時代です(ポスト・フォーディズムとも呼ばれています)。
ロングセラー、世代を超えた定番というものは稀になってきており、それよりも企業は時代時代にあったニッチな商品や、デザイン性に特化したラインを作ったりと、消費者の多様で変動しやすいニーズに応じることに重きを置いています。
企業がリリースした製品を広告を打って流行させ、それが象徴的な商品になり、その意匠(コンセプトやデザイン)が消費者側のニーズ、つまり欲望を条件付ける、といった「売り手によるトレンドの発明」という傾向は年々薄れています。
そこで各社は、競合他社との差別化のために、様々な付加価値を持った製品をリリースするようになります。
ハンコがペン先の反対側に収納されているようなタイプのペンなどは、こうした流れにある「機能性の付加価値」のある製品であると言えます。
価格競争も繰り広げられていきますから、様々な付加価値、ギミックを盛り込んだ安価な製品というものが量産された時代もあります。
最近では、あまり驚くようなアイデア商品は少なくなりましたが、新たな素材を採用したりして、新しい意匠=デザインが開拓され続けています。
安価でいて、かつ、使用において使い心地が良い、プラスして副次的な機能もある……、利便性と経済性を重視した、実用的なボールペンのマーケットは、このような状態にあると言えます。
例えば万年筆や高級ボールペンのマーケットでは、そうしたインスタントな消費物品というよりは、少しお金がかかってもブランド力や高級素材、特注デザインなどを施して「象徴的な付加価値」を増すことにトレンドが寄っているように思えます。